核兵器および通常兵器の廃絶をめざすブログ

近代文学研究を通して、世界平和を考えています。

星一『官吏学 第三巻』における無政府主義批判

 1922年といえばアナ・ボル論争の季節。彼ら主義者から見れば新興ブルジョワジーの一人であろう星一も、無政府主義アナーキズム)および社会主義(ボルシェビズム)への反論に一章を割いています。

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 (星一の主張してきた「統合」とは力の均衡であり、力の同一状態ではないことを明言した上で)
 自由平等とは人格尊重・機会均等を指し、決して社会主義無政府主義の主張するが如きにあらざるは論勿きなり。故に余は何れの点より見るも社会の秩序維持と国家存立の絶対必要を認め、国民の自覚と官吏の職責との重大なるを確信し、社会主義無政府主義とを排撃して止まざるものなり。
 (近代デジタルライブラリー 星一『官吏学 第三巻』61/630)
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 役人嫌いで知られる星一ですが、国家のない社会を望んではいませんでした。社会的強者の意見、と受け取る方もいらっしゃるかもしれません。私自身は無政府主義者でも社会主義者でもありませんが、国家というシステムに替わるものがないかどうかは、問い続けていく必要があると考えています。