核兵器および通常兵器の廃絶をめざすブログ

近代文学研究を通して、世界平和を考えています。

京谷大助『星とフォード』(1924)

 『三十年後』論を終えるにあたってふと気になったのは、同作品ははたして星製薬の発展に貢献したのかという点。同社の1918(大正7)年前後の経営状態を捜してみてこの本にたどりつきました。検索時の書名は『星一とヘンリー・フオード』ですが、奥付には『星とフォード』とありました。まあ些細なことです。

   ※
 星製薬株式会社の資本金増加の跡を示せば左表の如くである。
 (以下の表は原文では縦書き。横書きに改め一部省略)
 
  資本金   増資年月   
 四百円    明治四十年  
 五千円    明治四十一年 
 二万五千円  明治四十三年 
 五十万円   明治四十四年
 百万円    大正二年
 二百万円   大正六年
 五百万円   大正七年
 一千万円   大正八年
 二千万円   大正十年
 五千万円   大正十二年
  (近代デジタルライブラリー 『星一とヘンリー・フオード』 120/182)
   ※

 クイズミリオネアでしょうか。見てて心配になるような急成長ぶりです。収益状態については大正八年上期以降しか残っていないものの、第一次大戦後の恐慌にも関わらず順調に利益をあげています。
 『三十年後』の宣伝効果がどれほど貢献したのかは結局わかりませんでしたが、大正12年までの星製薬が右肩上がりに成長を続けていたのは確かです。ルカーチマルクスの正しさを力説している間にも。
 ファイナルアンサーはこの後に訪れるわけですが。星一と星製薬と、さらには親一少年の苦難の日々は。