核兵器および通常兵器の廃絶をめざすブログ

近代文学研究を通して、世界平和を考えています。

井上幸彦×田中敏郎「対談 非殺傷制圧具を考える」(『J.S.S.C』2008年5月)

 元警視総監と(株)セキュリティー東京支社長による対談。欧米化する犯罪に立ち向かうべく開発された、非殺傷制圧具「テーザーX26」がテーマです。
 火薬や針を使わず、相手に後遺症や痛みを与えない電流(低周波マッサージ器以下の2ミリアンペア)によって行動不能にするスタンガンです。
 イリノイ州ではこれが導入された2003年以降、警察官による死傷事故(被害・加害ともに)が劇的に減ったとのこと。
 …この『J.S.S.C』は日本安全保障危機管理学会の雑誌なんですけど、どうもいいことずくめというか、テレビショッピングを読まされている気がしなくもありません。ネットで調べると、テーザーによる死亡例も報告されています。それでなくても、犯罪や虐待に悪用される可能性は考慮すべきです。
 ただ、井上氏のまとめの一言、

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 「警棒では太刀打ちできないから拳銃で…となる前に選択肢のひとつとして、こういった有効な非殺傷武器があることが、今後の日本に重要になるのではないかと僕は思います」
 井上幸彦×田中敏郎「対談 非殺傷制圧具を考える」(『J.S.S.C』2008年5月 11ページ)
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 この結論が聞きたかったという気分です。非暴力では対抗できないから暴力で、通常兵器では対抗できないから核兵器で…となる前に、非殺傷という方向への軸ずらしを試みること。それが現在の私の方向性です。テーザーの商品としての価値はまた別として。