核兵器および通常兵器の廃絶をめざすブログ

近代文学研究を通して、世界平和を考えています。

呂布の平和主義(吉川英治『三国志』より)

 吉川三国志ネタをもう一つ。

 『草莽の巻』より。訳あって呂布が玄徳と袁術軍の仲裁をする事になった場面で。

 

   ※

 「おれの本心は、平和主義だ。おれは元来、平和を愛する人間だからね。――そこで今日は、双方の顔をつき合わせて、和睦わぼくの仲裁をしてやろうと考えたわけだ。この呂布が仲裁では、君は役不足というのか」

 四


 平和主義も顔負けしたろう。
 それも、余人がいうならともかく、呂布が自分の口で、(おれは平和主義だ)と、見得みえを切ったなどは、近ごろの珍事である。
 もとより紀霊も、こんな平和主義者を、信用するはずはない。

   ※

 

 ……役不足の使い方が間違ってますが、まあ呂布だし。

 問題は「平和主義」です。これも演義や正史に出て来るはずのない言葉ですが、吉川はいかなる文脈でこれを用いたか。風刺的なニュアンスだとは思うのですが。

 機会があれば、吉川三国志の新聞初出を読んでみたいものです。