核兵器および通常兵器の廃絶をめざすブログ

近代文学研究を通して、世界平和を考えています。

少年飛行士にも自爆を命じる北原白秋

 北原白秋は多くの童謡を書いてもいますが、少年のいのちを大切にする人ではありませんでした。

 

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 空の魂(たましひ)、あの人たち、

 少年飛行士健気(けなげ)だな。

 雷撃、爆撃、必中弾(ひつちゆうだん)、

 ぐわんと捨身の体あたり。

 (『白秋全集28 童謡集4』三九一頁)

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 この詩の初出は『週刊少国民』一九四二(昭和一七)年九月二十日。小型潜水艇による自爆目的の特別攻撃隊は行われていましたが、航空機による「神風特攻隊」はまだです。いつもながら、北原白秋の自爆にかける執念がうかがわれます。もっとも、爆発するのはいつも「あの人たち」であって、決して北原自身ではないのですが。

 そろそろ論文「北原白秋の自爆」が書けそうな気になってきました。他の戦争詩人との比較検討は必要ですが、北原白秋ほど真珠湾攻撃(つまり開戦当初)から自爆しろ自爆しろとわめき立てた詩人は、他に類を見ないと思います。単なる戦争協力ではない、むしろ、まともな戦争遂行にとっては協力どころか有害な北原の詩は、十分にその「独自性」を主張できると思うのです。