核兵器および通常兵器の廃絶をめざすブログ

近代文学研究を通して、世界平和を考えています。

妹が美人であったと聞いて

 弭兵の盟前後の『春秋左氏伝』から、小ネタをひとつ。

 

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 鄭(てい)の大夫、徐吾犯の妹が美人であったが、公孫楚がこれをめとる約束をした。ところが公孫黒もまた使者をたてて無理に結納の雁(がん)をおくらせた。

(略)二人に申し入れて、妹に選ばせるようにしたいとお願いしたところ、二人とも承諾した。そこで子晳(公孫黒)は服装を着飾って訪問し、進物をならべて帰った。子南(公孫楚)は武装して訪問し、左右に矢を放ち、車に飛び乗りして帰った。

 『春秋左氏伝(三)』一二一四頁

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 王朝物語にでもありそうな話。はたして妹フェチ二人で選ばれたのは。

 

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 妹は部屋の中からじっと見て、「子晳は誠に美しい方です。しかしながら子南は男らしい方です。男は夫らしく、女は女らしいのが、世にいう順道というものです」といって、子南氏に嫁いだ。

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 「夫らしく」は「男らしく」の誤訳でしょうか。その後、傷害事件に発展するわけですが。