これもデジコレで発見したもので、酷評があったから即対談の価値が下がるというものではないのですが。
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編集者 すこし前に、湯川秀樹博士と小林秀雄氏が「人間の進歩について」という対談をおこないましたが、それが広汎な知識人たちの間に相当な反響をひきおこしているというような現象の中には、わが国の知識人層の弱点とでもいうべき一面が、典型的に現れております。この対談をさして―文学のことを余り知らない科学者と、科学のことを余り知らない文学者とが集って、低俗化された文学論と俗流化された科学談をとりかわし、広汎なディレッタントがそれを有難がった―というような酷評をくだした人がおりましたが、こういう批評を、あながち理由のない悪口だといってすまされぬ実状が、たしかに存在すると思われます。
武谷三男他著『自然科学と社会科学の現代的交流―社会科学者に対する現代物理学解説―』理論社 一九四九(昭和二四)年 二三頁
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おおかたは「相当な反響をひきおこしている」という前提ではあります。こういう印象批評は困りもので、具体的に同対談のどこが「低俗」「俗流」なのかを明らかにして欲しいものです。もちろん、私は今回の論文で、可能な限りそれをやるつもりです。