これまで何度も、矢野龍渓『経国美談』後篇(一八八四(明治一七)年二月)が、日本語での「平和主義」という語の初の用例だと書いてしまいましたが、もう少しは遡れるようです。
お詫びして訂正します。以下、近代デジタルコレクションの検索結果より。
たとえば一八八三(明治一六)年一二月の、板垣退助立案・植木枝盛撰『通俗無上政法論』にはこうあります。かっこ内のふりがなは、原文では本文の左にふられています。
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無上政法なるものハ允(まこと)に文明の心を以てするものなり決して野蛮の心を以てするものにあらざるなり平和(おだやか)主義を以て之を為さんと欲するものなり
(六十頁)
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「平和主義」の「平和」の左に、おだやか、というふりがなが書かれています。
もっと前のもあったのですが、原文を見ると「平和ノ主義」だったりして(惜しい)、初出といえるかは疑問でした。引き続き検索を続行します。