女性議員の一団が公費でフランスに行き、エッフェル塔の前ではしゃぐ写真を公開するなどして、批判を浴びる昨今。税金のむだ使いはけしからんので、私も便乗させていただきます。
村井弦斎「水の月」(第六回)。舞台は北海道の札幌です。突如現れた富士山が消え、代わって出現したのは。
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其跡に現はれし一ツの高塔、高さは千尺の上をも出でん下より上まで残らず鉄造り、之を見て驚く賓客、(略)
其高塔を見れば巴里(ぱり)に立ちしエーフェル塔「是は今度巴里の大博覧会に出来たエーフェル塔の図に似て居ますが爾(そう)かも知れません」
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この小説が『北海道毎日新聞』に連載されたのは、パリ万国博と同じ一八八九年。できたてです。挿絵画家さんも「エーフェル塔って何だよ~」と悩んだのか、この回の挿絵は富士山の前でポーズをとる女性の絵になっています。