あるご論文の参考文献に挙げられていたので読んでみたのですが、残念ながらまったくの期待はずれでした。
「資本主義」という概念をマルクス以上に大きくとり、現代の諸問題をなんでもかんでも資本主義のせいと定義した上でその資本主義を非難し、そこからの脱出口としてマルクスの社会主義を掲げる本です。不毛なトートロジー(同語反復)といっていいでしょう。
「悪いものはすべて資本主義に属するとする」と「定義」した上で、「なぜ資本主義は悪いのか」を問えば、いくらでも出てきて当然です。アンフェアな論法です。
斎藤幸平氏の『ゼロからの『資本論』』がレーニンを「資本主義」と定義した上で批判していたのと同工異曲です。
もちろんトートロジーなど用いる必要もなく、社会主義は人々を常に不幸にしてきました。今後の代案にはなり得ません。
私は社会主義には常に批判的ですが、現状をこのままでよいと思っているわけではありません。世界が必要としているのはもうマルクスなんかではなく、実現可能、持続可能な平和論です。