そもそもMMT(現代貨幣理論)とは。木村貴『反資本主義が日本を滅ぼす』から、中野剛志氏のMMT論を引用している箇所を孫引きします。
なお私は以前、中野氏の『小林秀雄の政治学』を批判したことがありますが、文学論や政治学が間違っているから経済学も間違っているとは限らないので、ひとまずは先入観ぬきで中野氏の論旨をたどってみます。
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MMTとはそもそも何か。中野氏が説明するとおり、自国通貨を発行できる政府の自国通貨建ての国債はデフォルト(債務不履行)しないので、政府はいくらでも好きなだけ財政支出をすることができる。財源の心配をする必要はない、とする理論だ。「政府はいくらでも財政支出をすることができる」という突飛な主張について、中野氏はこう付け加える。「経済学の世界では、よく『フリーランチはない』と言われますが、国家財政に関しては『フリーランチはある』んです」
木村貴『反資本主義が日本を滅ぼす』 一九一頁
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中野氏がダイヤモンド・オンラインで公開している記事によるとのことなので、検索してみました。ありました。
中野剛志さんに「MMTっておかしくないですか?」と聞いてみた | 中野剛志さんに「MMTっておかしくないですか?」と聞いてみた | ダイヤモンド・オンライン (diamond.jp)
全13回におよぶ長大なインタビュー記事なので、今すぐ是非を判断する力は私にはありません。
しかし、「お金がなければ刷ればいいじゃない」という、マリー・アントワネットが考えたようなMMT(現代貨幣理論)。今すぐ賛同するわけにはなおさらいきません。
ゲーテ『ファウスト』の第二部には、財政難の帝国がファウストらの入れ知恵で金貨の代わりに大量の紙幣を発行し、財政難を乗り切る話がありました。『ドラえもん』にも「お金がわいて出た話」という、のび太が未来小切手帳で大金持ちになれた(と錯覚する)話がありましたが、どちらも最後は悲惨な結末になり、つけを支払わされています。
現時点での私は、反MMTに傾いています。ゲーテと藤子F先生の叡知を信じたいです。のび太は国家でも企業でもないので、MMT批判の例としては不適切かも知れませんが。
とりあえず、上記リンク先の中野論をじっくり読んでみます。