核兵器および通常兵器の廃絶をめざすブログ

近代文学研究を通して、世界平和を考えています。

ルートヴィヒ・フォン・ミーゼス『自由への決断』〔一九五九年の講演)より ケインズ批判

 社会主義共産主義への批判はもっともだと思えたのですが。

 ケインズへの批判となると、はたして妥当なのか、私にはわからなくなってきます。

 

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 ケインズは、賃金率が市場にとって高過ぎるため、すなわち賃金率が高過ぎ
るので、雇用主がその労働者数を増やすと利潤を上げられなくなること、労働
人口全体からみると、労働組合が押し付けた高賃金率では、賃金をかせぎたが
っている人びとの一部しか仕事にありつけないということを、よく知っていま
した。
 そこでケインズは、「確かに、毎年続く大量失業はきわめて不満足な状態であ
る」という意味のことを言っております。しかし、賃金率を市場の状況に適合
させることができるばかりでなく、適合させるべきだと提案する代りに、「通貨
価値を下げれば、そしてその結果を見通せるほど労働者が賢くなければ名目賃
金が同じである限り、実質賃金率の低下に抵抗しないであろう」という意味の
ことを言っております。換言すれば、通貨価値が下がる以前にもらっていたの
と同額を今日受け取っているならば、実際には以前よりも少なくなっているこ
とに気が付かないだろう、とケインズ卿は言っているわけであります。
古くさい言葉で申しますと、ケインズは労働者をだませと提案したのです。
   ※

 

 おだやかじゃないな。ついさっきまで私は、ケインズは失業を減らそうとした「いい経済学者」だと思っていたのですが、自信がなくなってきました。