これも以前に過去ログで、主人公はアイヌ人と書いてしまいましたが誤りでしたので訂正します。主人公は、「日本人」と書いて「しやも」とふりがながされる、和人の美少年です。舞台は確かにアイヌ社会ですが。
コピーしたものを一通り読んではみたのですが、どうしたもんかなあですね。
日本人とアイヌの狭間で揺れ動くアイデンティティの葛藤、といった内容を期待していたのですが、そんなもんはみじんもありませんでした。1893(明治26)年の明治政府が抱いていたであろう帝国主義的欲望に、すっぽりおさまってしまう作品です。
村井弦斎と遅塚麗水がそろっていながら、どうしてこうなった。一応、谷崎潤一郎論その他は一時凍結して、「美少年」論に全力を注ぐつもりではありますが。工夫が必要です。北海道とアイヌとポストコロニアリズムについても、もっと学ばなければ。