村井弦斎の初期作品で、題名を誤って表記されがちな作品を三篇ほど。
『匿名投書家』(誤) → 『匿名投書』(正)
『白鳳』(誤) → 『白鼠』(正)
『子猫』(誤) → 『小猫』(正)
『白鳳』というのは村井弦斎まつりのパネルで見つけ、そんな作品あったかなと首をひねったのですが、たぶん『郵便報知新聞』に一八九〇(明治二三)年に短期連載された、『白鼠』の誤記と思われます。さんざんお祭りでお世話になっておいて、苦言を呈す形になってしまいすみません。
『白鼠』は、家庭で虐待された幼い兄妹が、冷たい池に入水して心中するという、痛々しい物語です。これを評価する投書も確か『郵便報知新聞』に掲載されましたが、私はこれを弦斎らしい作品とは思いません。コピーはとらなかったので、改めて読んだらまた評価が変わるかも知れませんが。
子供や動物がひどい目にあう話は苦手で、実は『小猫』も、小猫が死んじゃう場面にショックを受け、それ以降は読めずにいました。近日中に再挑戦します。