いずれ明治の批評史を論じてみたい私にとって、避けては通れない人物がこの宮武外骨(みやたけがいこつ。本名同じ。1867(慶応3)~1955(昭和30)。)です。
批評家などと呼んでは失礼かも知れません。憲法発布に盛り上がっていた1889(明治22)年2月11日に、明治天皇そっくりの構図で骸骨が「頓智研法」を発布している図(同書53ページ)を描いて初入獄。その後いくたびもの入獄や発売禁止を繰り返しながらも、体制批判と反差別を貫いた人物です。
毒気が強すぎ、特定の人物に粘着しすぎる感はありますが、彼のギャグセンスは同時代のレベルをはるかに超えています。『滑稽新聞』での、執拗な村井弦斎『食道楽』のパロディには笑わせてもらいました。
不覚にも今回知ったのですが、「晩年は東大法学部内に明治新聞雑誌文庫を創設、その蒐集と保存に尽力した」(著者紹介)とのことです。またお世話になります。