核兵器および通常兵器の廃絶をめざすブログ

近代文学研究を通して、世界平和を考えています。

#伝記、自伝

「交差点 満州事変の首謀者石原莞爾と賀川豊彦の接点」 

交差点 満州事変の首謀者石原莞爾と賀川豊彦の接点 井村 勇 共済と保険 47(12), 8-10, 2005-12 賀川豊彦と満州で検索したら、以上のごとき気になる題の論文がヒットしました。 いかなる接点でしょうか。 (2017・3・20追記 読んだところ、直接的な接…

星新一『明治・父・アメリカ』より 『星とフォード』関係情報

星新一による父、星一の前半生を描いた伝記より。 ※ 父の若かったころのことを書いてみようと思いついた。父は生前に思い出を三回ひとに話し、いずれも印刷物となって私のところに残っている。 まず明治時代に杉山茂丸(しげまる)氏に対してである。それは…

江見水蔭『自己中心 明治文壇史』(1912)

まだ小ネタが残ってました。 江見水蔭『明治文壇史』の明治三十二年(1899)の項より。 ※ 新年からは『空中飛行器』といふ小説を掲載し始めた。飛行機を器と書くほど、其方の知識には幼稚であつたが、それでも其時代としては非常に珍しい題材として歓迎…

星新一『人民は弱し 官吏は強し』(新潮文庫 1978) より 『三十年後』評

「日本SFの父』星新一が、「日本SFの父の父」星一の『三十年後』を語った一節。 星一は政治家の後藤新平と親しく、会うたびに「ばかにつける薬はまだか」とからかわれていました。 ※ そのためもあって、星は「三十年後」と題する未来を舞台にした小説め…

江戸時代に出版されたアメリカ建国の歴史の内容が超展開すぐるwww(仮名垣魯文「童絵解万国噺」)

2chまとめサイトの一つ、哲学ニュース様より。あの『安愚楽鍋』の作者仮名垣魯文が、1861(文久元年)に刊行した、「ファンタジー全開で凄い事になってるんだわ」(同スレ1より)なアメリカ建国物語です。 http://blog.livedoor.jp/nwknews/archives/40…

チャールズ・エドワード・ストウ著 鈴木茂々子訳『ストウ夫人の肖像』 ヨルダン社 1984(原著1889)

『アンクル・トムの小屋』の作者、ハリエット・ビーチャー・ストウの、息子による伝記です。 『アンクル・トムの小屋』という作品が火をつけた奴隷解放運動が、南北戦争を引き起こした(リンカーン談。冗談まじりにもせよ)ことについて、作者自身はどう思っ…

福沢諭吉が見た福地桜痴(『福翁自伝』より)

福沢諭吉と福地源一郎(桜痴)は、明治前期に「天下の双福」とならび称された著名人なのですが、福沢が福地について語った文は少ないようです。 その数少ない例外。慶應通信『福翁自伝』(1957(昭和32) 原著1899(明治32))166ページ、「…

磯野フネの顔を持つヒットラー

別に、長谷川町子先生が戦時下にヒットラーを礼賛していた、という話ではないのでご安心ください。むしろ、その逆の証拠です。 『長谷川町子全集三二巻 サザエさんうちあけ話 サザエさん旅あるき』(朝日新聞社 1998)より。 「サザエさんうちあけ話」の…

『長谷川町子全集 第三二巻 サザエさんうちあけ話 サザエさん旅あるき』 朝日新聞社 1998

以前に報告した、サザエさん絵で描かれた小林秀雄についての続報です。著作権の都合上画像は出せませんので、ページ数を明記しておきます。 同書15ページ。「サザエさんうちあけ話」の文章の一部を引用します。 ※ 夏は、先生(引用者注 田河水泡)とアイス…

野崎左文 「私の見た明治文壇」(1927(昭和2)年) その2 小説作法編

動物と人間についての論がとどこおり気味なので、魯文まわりの資料を先に集めることにしました。 弟子の野崎左文による、魯文の新聞小説の作法についての証言です。長いので要約で。 ・まず一つの材料をとらえて腹稿(あらすじ)を定める。 ・それを三十回~…

福沢諭吉 『福翁自伝』より ブタの子の丸煮

『福翁自伝』(慶応通信 1957)の「はじめてアメリカに渡る」章より。 前回紹介した、福沢が大阪で牛鍋を食べていた時期の二年ほど後です。 ※ あるときにメールアイランドの近所にバレーフォーという所があって、そこにオランダの医者がいる。(略)ソコ…

福沢諭吉 『福翁自伝』より 「塾長の収入牛屋の定客」

安愚楽鍋論の参考になるかは別として、貴重な幕末の牛鍋資料です。 原著は1899(明治32)年刊。引用は慶応通信、1957(昭和32)年刊によります。 1857(安政4年)、大阪の緒方塾で塾長をしていた時代の福沢諭吉。その食生活は。 ※ 銭の乏し…

宮武外骨著 吉野孝雄編 『予は危険人物なり―宮武外骨自叙伝』 筑摩書房 1985

いずれ明治の批評史を論じてみたい私にとって、避けては通れない人物がこの宮武外骨(みやたけがいこつ。本名同じ。1867(慶応3)~1955(昭和30)。)です。 批評家などと呼んでは失礼かも知れません。憲法発布に盛り上がっていた1889(明治…

原抱一庵 「吾の昔」

『文藝界』1903(明治36)年7~12月。『明治文学全集26 根岸派文学集』筑摩書房 1981(昭和56)より引用。村井弦斎・遅塚麗水・村上浪六とともに報知の四天王と呼ばれた新聞小説家の回顧録です。文体は昨日紹介した麗水の「記者生活三十七…

村川堅太郎編 『プルタルコス英雄伝(上)』ちくま文庫 1987 「テセウス伝」

著者のプルタルコス(プルターク)は紀元50~120年頃、ローマ帝国時代のギリシア人です。あまりにも有名な古典ですが、連休のひまつぶしに、読めるところまで読んでみることにしました。最初の(ちくま文庫版での最初であり、プルタルコスが最初に書い…

冒険者、福地桜痴!(『懐往事談』)

ヒロイックファンタジーの小説やゲームには、よく「冒険者」と称する、ドラゴン退治やダンジョン探索を生業とする方々がでてきます。この冒険者という言葉、夏目漱石の『門』(1910(明治43))あたりが初出かと思っていたら、福地源一郎桜痴の自伝『懐…