核兵器および通常兵器の廃絶をめざすブログ

近代文学研究を通して、世界平和を考えています。

福沢諭吉 『福翁自伝』より ブタの子の丸煮

 『福翁自伝』(慶応通信 1957)の「はじめてアメリカに渡る」章より。
 前回紹介した、福沢が大阪で牛鍋を食べていた時期の二年ほど後です。
 
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 あるときにメールアイランドの近所にバレーフォーという所があって、そこにオランダの医者がいる。(略)ソコでごちそうは何かというと、ブタの子の丸煮が出た。これにも肝をつぶした。どうだマアあきれかえったな。まるで安達ケ原に行ったようなわけだと、こう思うた。
 (102~103ページ)
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 ・・・大阪時代には、ブタを殺して解剖した後食べてた(57ページ)こともあった福沢ですけど、ブタの丸煮にはショックを受けたようです。
 偽善とは思いません。ふだん動物を食べることに疑問を持たない人でも、何かのきっかけで痛ましさのスイッチが入ってしまうことはあるものです。私にとっては「当世牛馬問答」とそのさし絵がそうでした。でも、いまだに肉食をやめる気にはなれないのですけど。