『アンクル・トムの小屋』の作者、ハリエット・ビーチャー・ストウの、息子による伝記です。
『アンクル・トムの小屋』という作品が火をつけた奴隷解放運動が、南北戦争を引き起こした(リンカーン談。冗談まじりにもせよ)ことについて、作者自身はどう思っていたのか。そのへんを知りたくて読んでみました。
以下、「第16章 南北戦争 一八六〇-一八六五」より、ストウ夫人の言葉を引用します。
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「南部における過酷な抑圧を黙認し、助長した罪のために、深く、はげしく苦しむことは、南北を問わずわが国民に課せられた神の意志である。虐待と強奪という悪辣な手段を用いて得た不当な富は、戦争という代金で支払われねばならない」
(431ページ)
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「リンカーンはゆっくりし過ぎています。もっと早く推進させるべきです。(略)不意をついたシャープな治療こそ救いです」
(441ページ 1863年7月31日書簡)
(454ページ 1863年 『アトランティック・マンスリー』誌に載せた「回答」)
性急に批判するつもりはありません。もし批判するとしても、『アンクル・トムの小屋』を熟読し、南北戦争について調べた上になるでしょう。ただ、私の原則としては、「正義の戦争」というものの存在に疑問を持っていることは、ロールズを論じた際にも書いた通りです。