核兵器および通常兵器の廃絶をめざすブログ

近代文学研究を通して、世界平和を考えています。

菊川美代子「政池仁の非戦論」(現代キリスト教思想研究会『アジア・キリスト教・多元性』)第9号 2011年3月

 政池仁(まさいけめぐむ 1900ー1985)。内村鑑三の直接の弟子であり、生涯を通して絶対非戦論を貫いた方だそうです。うかつにも数分前まで存じませんでした。

 彼の『基督教平和論』は、「たとひ戦争が国家にとつて利益であつても、又世界の人類を幸福にするものであつても、してはならぬ」(著作集11 29頁)という徹底したものでした。内村鑑三アメリカ独立戦争南北戦争ピューリタン革命を正戦と認めていたようですが、政池は「殺人が不義なら義戦ではなくなります」(同33頁)と、それらの戦争の正義を否定しています。

 他国から侵略された国の防衛戦争についても、「大なる同情を寄せて批評せねばならぬ」(同3ページ)としつつも、防衛戦争といえども殺人である以上は肯定できぬと結論しています。

 ただ、政池の非戦論の根拠は、「キリストの再臨を早めるため」という彼独特のもので、無神論者である私には到底首肯しがたいものでした。

 内村門下の年長者である黒崎幸吉との、正戦論か非戦論かをめぐる論争もこの論文は扱っていますが、正直なところキリスト教内の宗旨争いという印象しか持てませんでした。普遍性ある平和論とは言いがたいようです。

 一応、政池仁の文章を読んでみたいという気にはさせられました。デジタルコレクションで探してみます。