現代(1980~1990年代)の中国・台湾・香港などで崇拝されている神々の学術的調査なのですが、どっかで見た名前がぞろぞろ出てきます。太上老君(141ページ)や太公望(188ページ)は当然としても、「はじめ殷の紂王に仕え、のちに周の武王に降った黄飛虎」(62ページ)だの、金もうけの神に封じられた趙公明(221ページ)だの、「聞仲の指揮下に属している雷部二十四神のなかのひとり」王奕(217ページ)だのが図版入りで解説されています。
雲ショウ・ケイショウ・碧ショウの三姉妹(『封神演義』では趙公明の妹たち)が、太公望姜子牙によって、妊娠と出産をつかさどる神に命ぜられ、祭日には数万の参詣者で賑わった、なんて話もあります(202ページ)。
『封神演義』が旧来の神話や民間信仰を取り込んだのは当然としても、「人びとの神々についての知識は、『封神演義』によっていることがたいへん多いように思われる。のちにいう黄飛虎もその一例である」(61ページ)という記述は考えさせられます。かつて文学作品として創作されたものが宗教に変わった実例です。
ああ、C公明先生のアンニュイ学園がまた読みたい。