「石原慎太郎の盗作」なんて題の書庫を設けておきながら、今の今までほったらかしていたことをお詫びします。
まず有名どころから。『文藝春秋』1959(昭和34)年10月号、「弟より俳優向きと言われた「太陽の季節」の作家 昭和30年6月7日」より。1955(昭和30)年当時に『文學界』編集長だった尾関栄氏の証言。
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「太陽の季節」を初めて読んだ時は、たしかに新鮮な感じがしました。もっとも、五年前に武田泰淳さんが「異形の者」という小説を書かれていて、その中に坊さんが性器で障子を突き破るシーンがあったんです。ですから、「アイデアが似ているな」と思い、編集長としては、賞に値するかどうか迷う部分がありました。小説そのものは新鮮であっても、個人としては好きになれなかったのです。
しかし、編集委員の一人が熱烈に支持したので、候補にノミネートした覚えがあります。
(同誌136~137ページ)
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私が読み比べた限り、「異形の者」と違って、「太陽の季節」にはそのシーンの必然性が薄く、唐突に出てくる感があります。
「そんな大昔の話なんて、政治家としての適性には関係ないじゃないか」とご批判があるかもしれません。次はもう少し政治的な話を。