岩波文庫版『経国美談 下』一九六九(昭和四四)年刊。編者小林智賀平によるまえがきより。
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『経国美談』上篇の復刻版を出し、売行も順調と聞いて、生みの親である筆者も喜こばしい。
懸念していた片仮名交り文も、それ程読み辛くなく、却つて現代と違った明治文学の香りがして、懐古趣味をそそられる、という評言を聞いて、著者の狙いも当ったと、喜んでいる。
(五ページ)
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人名地名を当て字からカタカナに改めたのがよかったんだそうです。売れ行き順調の理由はそれだけではなく、一九六九年という政治の季節にもよったのかもしれません。