核兵器および通常兵器の廃絶をめざすブログ

近代文学研究を通して、世界平和を考えています。

「将軍」再考

 今年中にどうにかもう一本は論文を書きたい。そうは思うものの新しい材料が見つからない。
 で、今の問題意識(チキンホークとか近代的自我とか)から「将軍」を読み返してみたのですが。
 芥川龍之介はチキンホークではないかわり、確立した近代的自我の持ち主ともみなされていないようです。少なくとも漱石よりは劣るというのが一般的な見方でしょう。
 「将軍」を見ても、将軍に批判的な見方をする人々は、ほとんどが西洋的な教養に支えられて、というより西洋人の見方に寄りかかっての気分的な反感であり、将軍の握手や「善人」ぶりでころっと変わってしまう程度の態度としてしか描かれていません。私が「将軍」を反戦小説ではなく、厭戦(戦争嫌い)小説にすぎないと思うゆえんです。
 厭戦小説にすぎないと認めた上で、「将軍」を評価するとしたら、芥川のオリジナルである「四」に狙いをつけてみようかと考えているところです(「一」~「三」がすべて元ネタありというのも問題で、芥川の近代的自我および芸術家意識が問われるところですが)。
 ざっくり現時点での感想を言うと、「自分は自殺はするかもしれないが、戦死や殉死は決してしない」といったメッセージが秘められていて、それは将軍の背後にある天皇制への批判にもつながるのではないか、と考えているところです。
 今回も、まとまりのない話ですみません。文章に起こすにはまだ早すぎる思いつきだったかも知れません。