核兵器および通常兵器の廃絶をめざすブログ

近代文学研究を通して、世界平和を考えています。

大きな絵は描けそうもないけれど

 谷崎潤一郎の「小さな王国」論を書いた時は、「大きな絵が描けそうです」なんて大言を叩いたものの、マルクス経済学対近代経済学という、おそらくは私の手には負えない大問題になってしまい、当分封印するはめになってしまいました。
 芥川龍之介の「将軍」論は逆に、大きな絵は描けそうもない気が今からしています。戦争そのものの批判ではなく、せいぜい将軍という結節点への批判的考察でしかないのではないかと。それでも無意味とは思いませんが。
 天皇や元老といった戦争の決定機関に比べると、将軍(少なくとも乃木希典クラス)はせいぜい戦争の遂行機関にすぎず、そんな中間管理職を批判したところで仕方がないのでは、という異議があるかも知れません。しかし、少なくとも「戦争はいかにして遂行されるか」の一端ぐらいは論じられると思うのです。どのみち、「将軍」でさえ伏字にされる芥川の時代では、「元老」や「天皇」という題の小説を書くことは不可能だったと思うので。
 それにしても狭くて弱い。そういう印象は否めないので、補強できる理論を探しているところです。今回はムフさんにはお休みいただいて。