核兵器および通常兵器の廃絶をめざすブログ

近代文学研究を通して、世界平和を考えています。

『アラン著作集 第六巻 イデー』(渡辺秀訳 白水社 1960)より「デカルト」 (予告)

 アランの文章にはことあるごとにデカルトが出るのですが、この『イデー』という哲学書も、約四分の一をデカルトに割いています(残りはプラトンヘーゲル、コント)。
 原著が出た1939年には、アランは既に平和主義者だったはずなのですが、デカルトが進んで戦争に身を投じたことについてはやけに好意的です。
 「(デカルトは)弱々しい学者ではなくて、元気な、いかつい男であり、ゆっくり考えていられないで、決意し、断行し、危険をおかす男である」(132ページ)。
 アラン自身も第一次世界大戦期に志願して一兵士となっており、安全な場所から口先で戦争を論じるだけの文化人が嫌いだったことは、『プロポ Ⅰ』からもうかがえます。私としては賛成しかねますが、もう少しアランについて知ってから論じたいので、今回は予告のみとします。