核兵器および通常兵器の廃絶をめざすブログ

近代文学研究を通して、世界平和を考えています。

アラン 『プロポ Ⅰ』(山崎庸一郎訳 みすず書房 2000)より「意欲する方法」(1922)

 ちょうどデカルト著作集を図書館に返したところなので、しばしアランに話題を移します。アランは『哲学入門』でデカルトプラトンを論じているので、まったく無関係でもない・・・はずです。
 
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 雨は人間がつくり出すものではないし、日光にしてもそうだ。だが、平和は人間がつくり出すものである。戦争はだれがつくり出すものでもない。平和への努力が欠けるところには、たちまち戦争が姿を現わすのだ。(略)あなたの好みがあげて平和の側にあったとしても、それで事態はいささかも変わらないはずだ。悪しきボクサーはパンチを受けなければいいと思っている。気の弱いピアニストは弾きそこなわなければいいと思っている。だが、外力がここぞというときに正しい音を弾いてくれると期待しても無駄だ。力の宇宙は平和的でもピアニストでもないことを肝に銘じておきたまえ。
                                                               一九二二年五月三十日
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 ・・・平和は自然状態ではなく、人工的に作り出さなければ実現できない、という意味であれば―『経国美談』の平和主義もそうなのですが―当方も異存はありません。ただ、アランの平和論の全体像を知るには、もう少し読み進める必要がありそうです。