「平和は明日にも可能である。明日にも容易である」(314ページ)。アランの文章には皮肉や遠回しな表現がやたら多いのですが、少なくともこの「地上に平和を」はアイロニーではありません。アランは切実に、個人レベルの道徳心による平和を訴えているのです。
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友よ、きみたちのひとりひとりは、平和をつくりだす王のような力を持っているのだ。
しかしながら、この力(引用者注 個人レベルでの平和をつくりだす力)を自覚することがぜひ必要である。万人の世論を敵にまわしては戦争は不可能と考えられるからだ。情念は巨大な社会組織をつくり出す。情念にとらえられたすべての人間が和らげば、この組織はつくられようがなくなる。途方もない出来事である戦争も、数多くの受諾からつくられるのだから。人間たちの世界のなかでわたしが目にしている新しいことは、彼らがこの無言の人民投票を理解しはじめたということだ。市民のこの大いなる力、それをいまや試みなければならない。明日にではない。今日にもだ。
一九二三年二月八日
(315~316ページ)
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