↑上記アドレスで全文が読めます。 『桃山学院大学環太平洋圏経営研究』 ((9), 213-229, 2008-03-25)収録。
同作品は、2019年という近未来での、言論の自由を守る図書館員と、それを抑圧するメディア良化委員会との闘争を描いています。映画版ではアクション要素が強調されていたようですが(予告編を見ての感想です。本編は未見)、原作小説では銃器や格闘によらない水面下の闘争にも多くの記述が割かれており、藤間論文はそちらの分析をメインとしています。たとえば図書館側の隊長が中学生に教える、大人の「ケンカ殺法」の例。
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その1 自分の弱みをまず潰せ
その2 数を集めて戦力にせよ
その3 建前は巧く使いこなせ
その4 敵と同程度のサクラをしこめ
(私が『図書館戦争』シリーズを読んだのはだいぶ前なので、藤間論文217ページより孫引きしました)
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・・・身もふたもないと思われるかも知れませんが、このぶっちゃけ感が図書館シリーズの魅力です。
ただ、以上のようなことは非暴力「戦術」ではあっても、倫理的な要請としての非暴力について論じたものではありません。それは『図書館戦争』や藤間論文の問題点というわけでは全くなく、こちらの問題意識と前二者とのずれによるものです。
個人としての私は、「数を集めて戦力にする」ことも、「敵と同程度のサクラをしこむ」こともよしとしないし、それ以前にそんな組織力などないので、自分なりの「大人のケンカ殺法」を考えていくしかないようです。