核兵器および通常兵器の廃絶をめざすブログ

近代文学研究を通して、世界平和を考えています。

デカルトの三元素説(『デカルト著作集 4』収録 『宇宙論』より)

 ガンジーについて書くと長くなりそうなので、先に懸案事項を片付けておきます。
 以前に、デカルト四元素説だと書いたのは、以下にあるように三元素説の誤りでした。訂正します。
 
   ※
 私は自分の流儀で元素の記述をしなければならない。
 私は、火の元素と名づけうる第一の元素を、宇宙で最も微細で最も浸透力のある流動体と考える。(略)
 空気の元素と考えられる第二の元素について言えば、私はそれもまた、第三の元素に比べれば非常に微細な流動体であると考える。(略)
 この二つの元素の次に、私が受け入れるのは第三の元素、すなわち土の元素だけである。(略)
 さてこのような形相は、私が述べた三つを除けば宇宙に見いだすことができないだろう。
 デカルト宇宙論』「第五章 元素の数とその性質について」 『デカルト著作集 4』 白水社 1973 147~149ページ
   ※
 
 水はどうなんだ。明記はされていないのですが、「最も固い石や最も重い金属に至る」地球表面の物質を、土と空気と火の複合物体と規定していることから、水もそれに含まれるものと思われます。
 実のところ、古代ギリシア以来の四元素説と比べて、デカルトの三元素説が科学史的にどういう地位を占めるのかはわかりませんでした。あまり変わらないような印象も受けますが、デカルトは少なくとも中世スコラ哲学が説明する宇宙観に満足してはいなかったようです。