核兵器および通常兵器の廃絶をめざすブログ

近代文学研究を通して、世界平和を考えています。

ヴァシーリー・ヴェレシチャーギン「戦争の結末」

 平和主義は非現実的だ、という方は多いのですが(ヘーゲルとか明治期弦斎とか)、そういう人のどれほどが実際の戦争を体験しているでしょうか?
 それと対照的に、実際の戦争を目撃・体験し、平和主義者に転じる人もいます。
 ロシアの画家ヴァシーリー・ヴェレシチャーギン(1842~1904)。
 1877年の露土戦争で兄弟を失い、自身も重傷。以後彼は平和主義者として、戦争の悲惨さを現地でのスケッチを基にした写実的な絵画で表現してゆくことになります。
 そして日露戦争にも従軍し、戦艦ペトロパヴロスク撃沈の際に、提督マカロフや乗組員らとともに戦死。彼の死は敵国日本でも報じられ、幸徳秋水中里介山(「嗚呼ヴェレスチャギン」)が追悼文を残しているそうです(以上 ウィキペディアhttp://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%B4%E3%82%A1%E3%82%B7%E3%83%BC%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%83%BB%E3%83%B4%E3%82%A7%E3%83%AC%E3%82%B7%E3%83%81%E3%83%A3%E3%83%BC%E3%82%AE%E3%83%B3 より要約)。
 司馬遼太郎の『坂の上の雲』にもちょっとだけ出てきましたが、平和主義者だったことは一言も書いてありませんでした。
 代表作「戦争の結末」は上記ウィキペディアでも見られます(微グロ注意)。かつて私に衝撃を与えた作品です。
 なんでこんな話になったかというと、「東雲の巻」を読んでて、村井弦斎の短絡的なロシア観にちょい腹が立ちまして。侵略主義の政府に統治されているからといって、国民すべてが侵略主義とは限らないのです。