核兵器および通常兵器の廃絶をめざすブログ

近代文学研究を通して、世界平和を考えています。

村井弦斎『日の出島』「白髭の巻」 その1(最終回) 馨少年の人体実験

 作者弦斎の脳中狂なるに非ざるか。そうつぶやきたくなる巻です。いつかは面白くなるだろうと斜め読みしてたら最後まできてしまいました。
 雲岳女史が未婚の青年男女を集めて開催した、無名園遊会。そこにかつての下宿人の一人「自称哲学者」が現れ、創作講談「大力源八」を披露するのですが、これが異常に長い上に、どう弁護のしようもない内容でした。
 どうにか巻なかばで講談が終わり、馨少年の殺菌装置発明の物語に移ります。こちらもはかばかしくいかず、功を焦った馨少年は自ら結核菌を飲んで殺菌装置を実験し、うまくいかずに本当の結核になってしまいます。アホです。 そして看病に来てくれたお富嬢までが結核に感染してしまいます。アホすぎです。ジェンナーの故事にでも悪影響されたんでしょうか。
 「僕はモー死にません、決して死にません」と、なつかしのトレンディドラマみたいなセリフと共に、病床で細菌撲滅への誓いを新たにする馨少年。果たして才子(?)佳人の運命やいかに。
 巻末近くでは「太陽熱をそのまま電気に変える発明」とか気になるトピックも出てきましたが、この巻は中途半端なとこで終わりでした。

 追記 今まで「白髪の巻」だと思ってました。画像を拡大したら「白髭の巻」でした。お詫びして訂正します。青年男女のラブコメ話なのに。