核兵器および通常兵器の廃絶をめざすブログ

近代文学研究を通して、世界平和を考えています。

『新編日本古典文学全集41 将門記 陸奥話記 保元物語 平治物語』(小学館 2002)

 『承久記』を読み直すための下準備として、軍記物四番勝負に挑んでみました。
 『将門記』は各方面で有名な平将門の反乱記録。最初から独立をもくろんでいたわけではなく、一族(特にいとこの貞盛。清盛の先祖)との内輪もめを重ねているうちに勢力が肥大化してしまい、後にひけなくなったという感じです。興世王を受け入れたあたりが分岐点。
 『陸奥話記』ははるかに知名度の下がる、前九年の役(1051~1062)が題材です。東北の安倍氏の反乱を、源頼義率いる討伐軍の視点から描いた物語です。頼義自身は前口上ほど名将ではなく、息子の義家(頼朝や義経の先祖)や義光(武田信玄の先祖)の活躍に頼って勝利を得た模様です。義(のつく息子)に頼るから頼義。
 『保元物語』『平治物語』については、長くなるので次の機会に。一昨年の大河ドラマでもやったとこだし。為朝のチートっぷりは印象に残りましたが、戦争そのものへの哲学的な考察はなかったように思えます。
 四作品すべてを通して言えることですが、どっちが朝廷方とかそういう名分に関係なく、戦争そのものを否定する人物はついに出てきませんでした。『承久記』に期待。
 
 2014・3・5 追記 『陸奥話記』で活躍するのは新羅三郎義光ではなく、その兄の賀茂次郎義綱でした。同時進行で読んだ別の史書と混ざってたようです。