核兵器および通常兵器の廃絶をめざすブログ

近代文学研究を通して、世界平和を考えています。

シモン・ニューコム著 黒岩涙香訳 『暗黒星』

 日露戦争下に新聞連載された翻訳小説なので(『萬朝報』1904年5月6日~25日)、私は以前読んだことがあるはずなのですが、うかつにも忘れていました。長山靖生『日本SF精神史』を読んでいて思い出し、青空文庫で読み返して衝撃を受けたわけです。
 
 
 進歩の極限に達し、戦争も犯罪もなくなった遠未来の地球。しかし、その文明も太陽系外から飛来した「暗黒星」が太陽と衝突したために崩壊していきます。
 事前にこの災害を予測し、地下に避難していた理学者の一派もいたのですが、ふたたび地上に出てきた時にはもはや生命の痕跡はどこにもなく、貯めておいた種を植えても育つあてはなく、人類が生き延びる道は残されていませんでした…。
 一応、人類絶滅後にも、遠い未来には新たな地球や新たな生命が現れるだろうとか、フォローはされてはいますけれど。どうみてもバッドエンドです。
 当時の読者はかなり不安になったのではないでしょうか。新聞連載時の反応が気になります。