トンネルはないけど国境は雪国だった。越後と信濃の境の駅を前にして、大雪のために立ち往生してしまった汽車。そこに乗り合わせた美少女とその父、貴婦人と書生、いわくありげな怪老賊。汽車を捨てて徒歩で駅を目指す、彼らの運命の交差が始まる…。
いかにも大時代な娯楽長篇といった、江見水蔭の三部作の冒頭です。
星一原案・江見水蔭筆の『三十年後』と同じ年で、しかも「空中」。これは読んでみる価値ありと判断しました。
この前篇ではまだ飛行家志願者が出てくるぐらいで、空中場面はありませんでした。
(追記 後編も読み終えましたがまだ飛びません。貴婦人の盗まれた時計の行方と、少女の出生の秘密をめぐるドラマに終始してます。終編に期待)