核兵器および通常兵器の廃絶をめざすブログ

近代文学研究を通して、世界平和を考えています。

隈本有尚「戦争の終期及び第二次戦争と日本の国難を予言す」 その2

 第一次世界大戦のさなかに書かれた、「第二次世界戦争」の予言。『実業之日本』1917(大正6)年1月号より。
 
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 極めて大規模で、且つ惨憺たる世界的大戦争だ。而して其時期は千九百三十年、即ち我大正二十年前後であると信ずる。此大戦争が終息して始めて永遠の平和が得られる。
 (i略。黙示録中の悪魔とはドイツの皇太子カールで、日本は英国とともにドイツを打倒することになると予言。また1920(大正9)年~翌年の日本に内憂外患があるとも予言し)
 大正九年には日本にも其れ(引用者注 クロンウエル時代などの英国の流血)に似たやうな憲法政治の危機と云ふが如き一大事件が突発し、人心をして著しく興奮せしむる。昔なら流血を見る惨憺たる戦争が起る訳だが、(略)結局民本主義の勝利となり、芽出度(めでたく)第二維新)の幕を閉づるであらう。
 (48~49ページ)
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 予言としては当たらなかったにせよ、ドイツの軍国主義体質を批判し、民本主義と「平和の戦争」(筆戦と舌戦)への移行こそ世界の大勢としている点は興味をひかれます。ヨハネの黙示録が根拠っつーのはどうかですけど。
 なおこの隈本有尚(くまもとありたか)という人物、東京大学予備門で夏目漱石正岡子規を教えていて、『坊つちゃん』の山嵐のモデルでもあるそうです(ウィキペディアより)。教育者としてはすごい人だったのかもしれません。