核兵器および通常兵器の廃絶をめざすブログ

近代文学研究を通して、世界平和を考えています。

星新一「大正七年の「三十年後」」(『SFマガジン』1966(昭和41)年10月号) その2

 小説『三十年後』について、星新一は「亡父の作品を解説するぐらい苦手なことはない」としつつも、いくつか感想を書いています。

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 小説の最初のほうに、東京湾の大築港のことが出てくる。これは後藤の構想で、(略。出資者安田善次郎の暗殺により)挫折に終ったというしろものである。また、空中交通の時代となり、道路が閑散となる描写があるが、これはむやみと広い道路の好きな後藤に対する、作者の皮肉のようである。
 (略)
 また、普通だったら百年後かあるいはそれ以上の未来としそうなのに、あえて『三十年後』とした点である。
 大正七年(1918)頃に、この種の小説が外国でどのていど出ていたのだろうか。そのうち調べて、欧米SFからの影響部分を探してみたいと思っている。
 (『SFマガジン』1966(昭和41)年10月号 116~117ページ)
   ※

 「欧米か」とつっこみたくなりますが、まだ明治大正SFについての研究が進む前の感想なので。横田順彌氏をはじめとする先人たちの研究に感謝です。
 ヴェルヌやウェルズの影響もあるのでしょうが、日本SFの影響のほうがより直接的だと思うのです。もちろん村井弦斎も含めて。