『日本近代文学会 北海道支部会報』2008年5月号。
まずは章立てを紹介。
1、都市の成長に伴う社会問題の深刻化とその解決法としての「ユートピア」小説
2、日本の科学小説の系譜と『三十年後』の内容
3、製薬企業の振興と星一の製薬事業
4、都市中間層における「健康ブーム」と日常薬の普及
5、モデルとしての後藤新平
6、知識人における「体質」改善についての考え
7、自由恋愛への批判
8、『三十年後』におけるナショナリズムとその背景
9、『われら』について
10、1920年代のソ連における優生思想
11、『われら』との比較
12、まとめ
特に3、4章あたりは丁寧に調べてありまして、「胃活」や「仁丹」の広告が明治末期以来の伝統的なデザインを踏襲しているのに対して、星製薬の広告は毎回デザインを変え、一目を引いている、という指摘はなるほどでした。実際、星製薬の広告は見てるだけで面白いんですよ。絵本風だったりショートショート風だったり。それが売り上げに結びついたかどうかは別として。