核兵器および通常兵器の廃絶をめざすブログ

近代文学研究を通して、世界平和を考えています。

フーリエ『産業的協同社会的新世界』(1822)

 甘い。甘すぎるぜフーリエ
 パンがなければ砂糖煮(コンポート)を食べればいいのに。←一言で要約するとこれ。

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 美食術のごとき、われわれの道徳によれば堕落しているとされる悪習の大部分は、産業面での競争心を生じさせる手段となる。だから、美食術の洗練は、そこでは、英知(サジェス)を生む主動力として奨励されるのである。
 (『世界の名著42 オウエン サン・シモン フーリエ』 中央公論社 442ページ)

 協同社会は、果実をきわめて豊富に手にするようになるので、科学的方法に基づいてそれを保存し、パンよりも安上がりとなる砂糖煮(コンポート)やジャムに用いることによって、年じゅう子どもたちにそれを食べさせるようになるであろう。
 (同書 458ページ)
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 神はすべての子どもたちに甘いものへの引力を与えたのであって、甘いものを禁止してきた文明は神の意志に反する…んだそうです。虫歯とか肥満とか糖尿病への対策は一切考慮されていません。
 そりゃ、私も甘いものは好きですけど。そろそろ血糖値が気になる年頃としては自粛すべきなわけです。フーリエの「美食術」への見識は、遺憾ながら「五味調和」の村井弦斎と比べても落ちると言わざるをえません。
 ただ、人間の自然な欲求を否定しない方向に社会を改革したいという善意は認めます。
 マルクスルカーチよりは、まだしも読む価値のある本でした。