核兵器および通常兵器の廃絶をめざすブログ

近代文学研究を通して、世界平和を考えています。

奥野久美子「芥川龍之介「将軍」考―桃川若燕の講談本『乃木大将陣中珍談』との比較―」

 『国語国文』二〇〇三年三月掲載。
 芥川龍之介の作品には元ネタがあるものが多いのですが、「将軍」も例外ではなく、桃川若燕の講談本『乃木大将陣中珍談』がそれであったという、必読の先行論文です。
 筑摩書房版全集の注釈では未詳となっていた「パン聯隊」という言葉もここに出典がありました。
 『乃木大将陣中珍談』をデジタルコレクションで再確認したところ、白襷隊同士の会話で、

   ※
 『口の悪い奴だ、お前何処だ』
 『麻布龍土の第三聯隊だ』
 『何んだパン聯隊か』
 『パン聯隊とは何んだ』
 『夫れでも三聯隊はパンばかり食つて居るじやアねえか』
  (七五ページ)
   ※

 とありました。これは全面的に奥野氏の功績なので、ブログで扱うにとどめておきます。

 2018・11・19追記 『乃木将軍陣中珍談』は『乃木大将陣中珍談』の誤りでした。お詫びして訂正します。なお、CiNiiにも同様の誤りがあるようです。