非暴力・非武装型平和主義の弱点は、暴力への抑止力を持たないことだと、ここ数年考えています。
抑止力があればいいというものではありません。軍事力による抑止力は、他国にとっては脅威となり、最終的には抑止力どころか戦争の引き金になりかねないという、いわゆる安全保障のジレンマについては、武者小路実篤の『ある青年の夢』を題材に去年論じました。
しかし、だからといって無抵抗主義を貫けばいいというものではなく、無抵抗主義は各種の暴力をはびこらせる恐れがあることは、賀川豊彦『空中征服』を題材に今年論じました。
そこで、軍事力にもよらず無抵抗主義でもない、非暴力型抑止力とでもいうべきものがどうしても必要になってくるわけですが、その点を深く追求している研究者を私は知りません。
ならば私が考えるしかないと思うのですが、今手元にある文学作品だけではどうもパワー不足でして。ムフの新刊に期待している理由がそこにもあります。
どうか、来年も核通をよろしくお願いします。