核兵器および通常兵器の廃絶をめざすブログ

近代文学研究を通して、世界平和を考えています。

デジコレ宋襄の仁

 国会図書館のデジタルコレクションで「宋襄の仁」を検索したら9件出て来たのですが、いずれも「つまらぬ情け」「笑いもの」といった論調でした。これがすべての事例だとは思いませんが、少なくとも『春秋公羊伝』に依拠して、戦場における礼の極みだとした用例は見つかりませんでした。
 特に桐生悠々などは、「政治は須らく男子的たるべしだ。宋襄の仁は婦人的政治である」としています(『緩急車』第一集 一九一八)。この人物はもしかしたら今後扱うかもしれないと思っていただけに残念です。
 前にも書きましたが、宋襄の仁を評価するかどうかは、歴史の分岐点だと思うのです。「勝つためには何でもやっていい」という思想は、やがて無差別殺戮を生み戦略爆撃を生み核兵器を生みます。
 一方、宋の襄公の弟の孫である向戌は、「戦争における礼」の思想の果てに、「戦争をなくすための礼」にたどりつきました。私も後者に倣いたいものです。