核兵器および通常兵器の廃絶をめざすブログ

近代文学研究を通して、世界平和を考えています。

柳田国男の戦争責任のがれ

 桑原武夫との対談「日本人の道徳意識」。『現代倫理』一九五八(昭和三三)年六月とのこと(初出未見)。
 日本人の戦争責任についての、桑原の質問に対して。

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 柳田 われわれなんかどちらかというといつでもひねくれる方の側だから都合が好かったんだけどもね、なかにはいくらか政府に便宜を供してやろうとか、足りないところを補ってやろうという気持でやった人もあるんですから、言いようにもよりますけども、それを変節みたいに言うのは無理だと思います。時代の勢いが強うございましたからね。御一新のさいと似てるけど、強かったから反抗できなかったことは恕してやらなければならない。私自身はどちらかといえば反抗ばかりして来たんですが……。
 桑原 それは存じています。
 (『柳田国男対談集』(筑摩書房 一九六四(昭和三九) 二二三ページ)
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 ……私も存じています。柳田国男が「特攻精神をはぐくむ者」や「七生報国」を書いたことを。何が反抗ですか。
 自分だけは安全な場所で炭焼きなどしながら、疎開児童にまで勇士烈士となるよう強いていたことを。
 曲学阿世柳田国男のためにある言葉です。