核兵器および通常兵器の廃絶をめざすブログ

近代文学研究を通して、世界平和を考えています。

教育勅語と共産党宣言

 私は左派ではなく中道を自認しています。今回は左右両方から怒られそうな話を。
 教育勅語共産党宣言、一見対極に見える二つが、倫理的なレベル(の低さ)では大差ないという話です。

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 爾臣民父母ニ孝ニ兄弟ニ友ニ夫婦相和シ朋友相信シ恭儉己レヲ持シ博愛衆ニ及ホシ學ヲ修メ業ヲ習ヒ以テ智能ヲ啓發シ德器ヲ成就シ進テ公益ヲ廣メ世務ヲ開キ常ニ國憲ヲ重シ國法ニ遵ヒ一旦緩急アレハ義勇公ニ奉シ以テ天壤無窮ノ皇運ヲ扶翼スヘシ
 教育勅語(一部)
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 共産黨は、その主義政見を隱蔽することを恥とする。彼らは公然として宣言する。彼らの目的は、一切從來の社會組織を強力的に顛覆することによつてのみ達せられる。支配階級をして共産主義革命の前に戰慄せしめよ。プロレタリヤは、自分の鎖よりほかに失ふべき何ものももたない。そして彼らは、獲得すべき全世界をもつてゐる。
 萬國のプロレタリヤ團結せよ!
  「共産党宣言」(一部) 堺利彦訳 青空文庫より引用
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 反動か転覆か、に惑わされないでください。両者はどちらも、「味方たちよ団結せよ、そして敵に当れ」という程度のことしか言っていないのです。これらの根本的な旧さ(19世紀に書かれたからとかではなく、人類史的なレベルの旧さ)はそこにあります。
 こんな「教育」や「党」で、戦争や大虐殺が止められなかった(むしろ促進した)のも当然です。
 戦争のない世界を実現するには、こうした旧い「教育」や「党」ときっぱり縁を切る必要があると思います。そして新しい倫理は、「敵」に対してどう振舞うか、に重点を置くべきです。プラトンの『国家』第一巻でソクラテスが言いかけた「敵を害することは正義ではない」論は恐らくそれであり(第二巻以降は「いかに味方を団結させて敵に当らせるか」に話題が移り、私はあまり価値を認めません)、ムフが現にやろうとしている闘技学も、めざすところはそこにあると思います。