核兵器および通常兵器の廃絶をめざすブログ

近代文学研究を通して、世界平和を考えています。

陸軍の精鋭、北原白秋!

 戦前に万歳ナチスを叫んでいたのは小林秀雄だけじゃない、北原白秋だって「万歳ヒットラー・ユーゲント」なんて作詞してるじゃないか、というご意見もあるかもしれません。今回は白秋の詩について。

 白秋には「大陸軍の歌」もありまして。その一節を。おそらく最晩年。

 

   ※

 青雲の上に古く 仰げ 皇祖

 天皇大陸軍 道あり統べて一なり

 建国の理想こゝに 万世 

 堂々の歩武を進む 精鋭我等

 我等奮へり

 (以下略)

 (高須芳次郎『愛国詩文二千六百年』 (非凡閣, 1942)デジタルコレクションより)

   ※

 

 ……「精鋭我等」「我等奮へり」って、いつ北原白秋は陸軍の精鋭になったんでしょうか。

 やぼを言うな、こんなのは校歌や社歌と一緒で、自分以外の「我等」に歌わせるために量産した詩に決まってるじゃないか。しかし。

 自分を一切含まない「我等」とはいったい何でしょうか。言い方を変えると、自分自身を一切棚上げにしてすらすらと嘘を書けるほど、白秋の生涯にとって詩とは軽いものだったのでしょうか。