核兵器および通常兵器の廃絶をめざすブログ

近代文学研究を通して、世界平和を考えています。

『闇中政治家』から見るジェンダーの問題

 私はこれまで、ジェンダーとかLGBTの問題に深入りするのを避けてきました。

 人間(男女問わず)を戦争や差別に駆り立てる、敵対関係の問題についての一般理論を組み立てること、それを優先してきたからです。

 しかし、その一環として、原抱一庵『闇中政治家』という明治文学を読んでいたら・・・・・・やはり、性の問題から逃れられる空間などない、と痛感させられました。

 登場人物の保之助(=ヤス)はトランスジェンダーというわけではなく、女性一人で北海道を旅するのは危険だから男装しているだけなわけですが。かえって女性との恋愛経験がない男性(=語り手)から執着されてしまうという、少々ややこしい話です。

 思えば名古屋大学大学院で私が研究生や院生をやってた時代にも、トランスジェンダーの問題を扱っておられた先輩もいたわけでした。学べるうちに学んでおくべきだったと後悔しています。

 後悔してもしかたがないので、遅ればせながら入門しようと思います。とりあえず今の私は、ジュディス・バトラーの主張(ジェンダーのみならずセックスも構築されたものだという説)には懐疑的です。笙野頼子『女肉男食 ジェンダーの怖い話』にバトラー批判があるようなので、まずは読んでみます。