私は歌舞伎もくわしくないので、福田恆存の戯曲『明智光秀』の冒頭に、
「ー松本幸四郎のためにー」
とあったのを見て、
「あれ、松たか子のお兄さん?いやお父さんだっけ?」
と迷いましたが、検索したらいずれも違いました。松たか子さんのお兄さんは十代目、お父さんは九代目、そして福田に『明智光秀』を捧げられたのは八代目でした。
その『明智光秀』もデジタルコレクションで読めたのですが、露骨にシェイクスピアの『マクベス』の猿まねで、「そなたの体に刃は通らぬ」と妖婆に予言された光秀が、竹槍で刺されて死ぬという、コントのような芝居。
福田の自称喜劇はさっぱり笑えないのですが、悲劇はなんか変な笑いがこみあげてきます。こんなのを真面目に演じさせられた八代目さんも大変です。