核兵器および通常兵器の廃絶をめざすブログ

近代文学研究を通して、世界平和を考えています。

『ナチスの文学』に様々配慮した福田恒存

 もう、今さら何が出てこようと驚きませんが。

 高橋義孝ナチスの文学』(一九四一)の「あとがき」より。

 

   ※

 終りに、種々御配慮を戴いた畏友福田恒存氏に厚く感謝の意を表する。

     一九四〇年十二月 

                        著 者

 (二七九頁)

   ※

 

 東京帝国大学英文科卒の福田恒存が、同独文科である高橋義孝にドイツ語面で指導をできたとは解せないので、「御配慮」とは政治的・思想的な面での援助なのでしょう。

 くどいようですが「福田恒存」という表記です。戦前戦中は「福田恒存」表記だったのに、わざわざ戦後にむずかしげな「福田恆存」表記に直してるんですね。ナチスの文学刊行に配慮し、スターリンの言葉を讃えた「福田恒存」とは別人という意味を込めてでしょうか。