核兵器および通常兵器の廃絶をめざすブログ

近代文学研究を通して、世界平和を考えています。

岩波文庫版、ホメロス『イリアス』上下巻など読み返してみる

 不謹慎を承知の上で言いますが、やっぱり面白いですイリアス

 『平家物語』を再読した時にも思ったのですが、凄惨な戦争の描写というのも、一歩引いた視点(たとえば無常観とか、不死なる神々の視点といったもの)を想定して眺めると、一気にドタバタコメディになってしまうんですよ。

 これもゲーム化できないかなとか思って読んでみたのですが、シンメトリーな構造にするには、ちょっとゲームバランスが悪いですね。アカイア、トロイエ両軍の人間の英雄たちの強弱もさることながら、両軍を支援する神々のバランスが。

 アカイア勢にはポセイドン、ヘラ、アテナがついているのに、トロイエ勢の味方はアポロン、アルテミス、アレス、アフロディテといった、非戦闘系の神々ばかり。

 え、アレスは軍神じゃないかって?でも弱いですアレス。人間の英雄ディオメデスに刺されて絶叫してます。この叙事詩の神々は不死ではあってもノーダメージではなく、人間からけっこう物理的な攻撃をされてダメージを受けてます。

 神々や運命にひたすら服従するのではなく、それらに抗う人間を描いた、神話と文学の過渡的な作品なのではないでしょうか。