だいぶ以前に予告を書き、入手もしていたのですが、報告が遅れてしまいました。
「ナイトランド・クォータリー」Vol.32内容紹介 アルキビアデスは鳥王国の夢を見るか?/大岡淳 - 核兵器および通常兵器の廃絶をめざすブログ (hatenablog.com)
古代ギリシア、アリストファネス(アリストパネスとも)の喜劇、『鳥』(紀元前四一四年)についても、以前に紹介しました。
アリストパネース 『鳥』(紀元前414年) - 核兵器および通常兵器の廃絶をめざすブログ (hatenablog.com)
ピスタテイロスという人間にそそのかされた鳥類が独立を宣言し、人類や神々を超える存在になってしまうという、ぶっとんだ内容です。この、鳥をそそのかしたピスタテイロスのモデルが、アルキビアデスという実在の人物だったのではないか、というのが大岡論です。
自分の過去ログばっか引用して申し訳ありませんが、アルキビアデスについても前に書きました。塩野七生著やプルタルコス英雄伝に依拠して。
塩野七生『ギリシア人の物語Ⅱ 民主政の成熟と崩壊』(新潮社 二〇一七) その2 - 核兵器および通常兵器の廃絶をめざすブログ (hatenablog.com)
乱世の姦雄、治世でもやっぱり姦雄。無謀な戦争を引き起こし、ついにはアテナイを亡国に追いやった好戦派の指導者なのですが、独特の人間的魅力、カリスマ性をもった人物です。大岡著では、「ポピュリスト」「サイコパス」と表現しています。
さらに大岡氏は二〇一五年、
『王国、空を飛ぶ!~アリストパネスの『鳥』~』
と題した翻案劇を作り、設定を現代日本に移し替えて、主人公の鈴木に大演説を行わせています。
「王国」「カリスマ」とくると、どうしても私は今執筆中の谷崎潤一郎「小さな王国」論に連想がいってしまいます。なぜ人類は(鳥類も?)カリスマに惹かれるのか。
紙幣発行ぐらいならまだ罪はないのですが、アルキビアデスの起こした戦争は、ギリシア文明そのものに深刻なダメージをもたらしました。アルキビアデスという人物についてはまだ語りたいことも多いのですが、今回はここまでにします。