核兵器および通常兵器の廃絶をめざすブログ

近代文学研究を通して、世界平和を考えています。

ドラマには起伏が必要

 「モンスター!モンスター!」の新展開はうれしいのですが、気になることもあります。はるか昔、私がまっさきに社会思想社版の同書を入手していながら、友人が乗ってこなくて多人数実プレイができなかったという、苦い経験もふまえつつ。

 TRPGとかゲームに限らず、物語には「起伏」が必要なのです。

 駆け出しの戦士が冒険を重ね、強大なドラゴンや魔王を倒すまでに成長する。

 継母にいじめられる貧しい娘が、舞踏会で王子さまに求愛される。

 東大の優等生二人が暴力団の世界に飛び込み、裏社会の王国を築き上げる。

 ……などなど。スタートとゴールに落差を設け起伏させることで、物語は躍動するわけです。

 もちろんそうでなく、最初から最強レベルの主人公が無双する物語もありますし、ぐるっと一周してスタート地点に帰ってくる物語もありますけど。それでもたいていの娯楽作品の作者は、巧みに緩急起伏をつけて読者を飽きさせないようにするものです。

 ひるがえって「モンスター!モンスター!」の場合、最初から人間より強いモンスターとしてスタートすると、起伏がつけずらいんじゃないか、経験を積んで成長していく楽しみに乏しいんじゃないかと、いらぬ心配をしてしまうわけです。

 そのへんを、長年TRPG製作にたずさわってきたケン・セント・アンドレ氏らはどう処理しているのか。気になるところです。

 なお私が今やってる多人数用TRPGは、「モンスター!モンスター!」の逆方向といいますか、一般的な大人よりも弱い学生探索者になってもらうことで、従来とは逆の「起伏」をつけています。今のところはわりと好評です。